未来を正確に予測することは、データサイエンスにおける永遠のテーマです。 金融市場の動向や経済指標の予測システム構築においても常に直面しますが、現実世界のデータには膨大な「ノイズ」と、人間の「群集心理」が複雑に絡み合っています。
当プロジェクト「AI-Brains」では、ニューラルネットワーク(NN)をはじめとする機械学習モデルの実証実験(PoC)を行うにあたり、テストグラウンドとして「公営競技」のデータセットを採用しています。今回は、その技術的な理由と今後の展望について解説します。
1. 結果の完全な数値化と高速なフィードバックループ
機械学習において、モデルを評価・改善するためには「明確な正解(教師データ)」が不可欠です。公営競技は、着順や配当といった形で結果が100%数値化されており、曖昧さが介入する余地がありません。 また、毎日多数のレースが開催されるため、Pythonを用いたデータ収集プログラムを稼働させることで、学習・予測・検証のサイクルを極めて高速に回すことができます。
2. 「オッズ」という群集心理の指標化
単なる物理法則の予測と異なり、公営競技には「オッズ」が存在します。これは参加者の予測(群集心理)が数値化されたものであり、AIは「勝つ確率」だけでなく「オッズに対する期待値」を計算する必要があります。この複雑な変数を処理するプロセスは、より高度な予測アルゴリズムを構築するための最適な訓練となります。
3. フェーズ1:ボートレースでのベースライン構築
現在、初期の実証実験として稼働しているのがボートレース(競艇)の予測モデルです。 ボートレースは「6艇」という固定された少ない変数と、「インコース絶対有利」という強力な物理的セオリーが存在します。この環境は、アルゴリズムがノイズを排除し、基礎的な特徴量を抽出するためのベースラインモデル(基準)を構築するのに非常に適しています。 (※現在の稼働状況と予測データは、サブドメイン boat.ai-brains.net にて公開中です)
4. 本丸プロジェクト:多次元パラメータが交差する「競馬予測」へ
ボートレースという比較的変数が制御しやすい環境でデータ収集・解析の基盤を固めた後、当プロジェクトの最終的な本丸として見据えているのが「競馬予測システム」の構築です。
競馬は最大18頭立てとなるだけでなく、血統(遺伝的バックグラウンド)、馬場状態、天候、展開など、多次元的で極めて複雑なパラメータが絡み合います。ボートレースのPoCで培ったアンサンブル学習(NN + LightGBM + CatBoost等)の知見を最大限に活用し、この複雑系システムに対する最適解を導き出すモデルの開発を現在進めています。
AI-Brainsでは、今後もデータの裏側に潜む規則性を探求し、その過程を発信していきます。

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